古民家再生の「本柱撤去欠陥」と施主側の防止対策を考える
もくじ
はじめに
本柱とは
管柱の撤去
本柱の大まかな見分け方
本柱を抜いてしまう理由
防止対策の検討
まとめ
はじめに
古民家再生・リフォームは、今までの状況より良くするために、実施する事は当然です。
ほとんどの場合、工事の目的を達成する事でしょう。
中には、仕上げなどで手直しがある場合もあるでしょうが、手直し程度で終わる事がほとんどです。
しかし、調査業務などで色々な現場へ行くと、かなりひどいリフォームを見る事があります。
その中でも、抜いてはいけない大事な柱を傷付けたり、切断+ごまかしたりを見る事があります。
その施工者は、クレームのつけにくい遠方のリフォーム会社から、大手と言われる会社までいろいろです。
「致命的な欠陥」と言っても良いリフォームを補修するのには、かなり高額な費用と時間を要します。
このような結果は、リフォームを実施した施工者の責任でしょう。
しかし、施主サイドとしては、どうしようもなかったのでしょうか。
古民家再生、リフォームの欠陥の原因と、そうならないための対処方法を考えます。
本柱とは
通し柱など、梁や桁などの横架材と共に、家の骨組みの無くてはならない柱です。
伝統構法の家で、鴨居又は小壁と横架材と組み合わせて、横に倒れる抵抗力となります。
現在の壁量計算の強度保持の考えとは少し違います。
大黒柱なども本柱の一部です。
太い柱である事が多いです。
管柱の撤去
それとは逆に、本柱の間に入れる柱を管柱と言います。
梁や桁などの横架材の寸法(メンバー)を決める際に、田舎建て住宅では、管柱の影響を考慮しない事が多く、管柱を撤去できる可能性が高いです。
設計者などの判断により補強を加える事もあります。
本柱の見分け方
正確には専門家の確認が必要ですが、大まかに判断する事ができます。
鴨居や小壁など、見る事ができる強度部材の交点の柱です。
本柱は基本的には2間か1.5間スパン毎に存在する事が多いです。
1間は日本住宅の長さの単位で地方によって長さが違います。
モジュールと考えるとわかりやすいです。
(1間=1820mm(関東))
本柱を抜いてしまう理由
田舎の古民家では、下屋がある事が多く、壁の端から1m程度、内に入った所に本柱が来ることが多いです。
その柱は間取りを考えるときに邪魔になりやすいです。
基本的には本柱を中心に壁の配置を考えますが、慣れない人にとっては、本当に邪魔なんです。
知識が無いと「取ってしまえ」となるわけです。
取ってしまうと、当然、構造的に弱い家となります。
かなり危険です。
防止対策の検討
施主側として、どのような事を注意すればよいのでしょうか。
・施工者の選定は慎重に行う。
大手だから、リフォーム店だからという理由で施工者を選定しない方が良いです。
基本的には、田舎建て住宅は、鉄骨建物などのスケルトンインフィル的考え方をする方が良いです。
枠式木造住宅等とは、構造の考え方が違います。
このような事を考え、田舎建てに慣れた施工者を選ぶと良いです。
もう一つ、設計などの技術事項は専門家と打ち合わせができる会社が良いです。
営業職とのみ打ち合わせをする会社は要注意です。
営業は、営業のプロであって、設計のプロではありません。
当然、建築士も専門外の場合(木造が不得意の場合)があるので、注意が必要です。
・勉強すると共に、現場へ、こまめに行く
勉強と言っても、ネットで調べる程度で十分です。
興味を持つと言う方が、良いかもしれません。
本柱は、太い柱である事がおおいです。
現場へこまめに行くのは、施工者に緊張感をもってもらう為で、疑問点などがあったらすぐに質問できます。
また、手直しや変更をする場合でも、お互いに被害が少なくなる傾向にあります。
まとめ
欠陥リフォーム後、大金を掛けて手直しをした人、不細工だけどつっかえ柱で補強した人、知らずにそのまま生活をしている人、いろいろです。
ただ、このような工事の被害にあった人は、基本的に他人任せであったと言えます。
多額のお金をかけてする事なので、致命的な欠陥となるような工事とならないよう注意を向けてみてはいかがでしょうか。
参考になればうれしいです。
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