はじめに

マイホームの新築や大規模なリフォーム工事には、多額の費用がかかります。

ほとんどの人が、一生に一回だと思います。

建築工法や住宅性能も何種類もあって、それによってかかる費用も大きく違います。

私(ゆうけい建築事務所)が係る工事では、工事が終わってから追加増減の清算をしますが、予算が余って(最終的に減額)費用対効果が良かった工事、逆に追加工事が、多数あり、予算オーバーになった工事があります。

なぜ、そうなったのか、失敗事例をあげて、考えてみます。

 

請負工事の場合

請負工事の場合、単純に追加工事があれば増額になります。

契約範囲がどこまでなのか、必ず確認してください。

扉の取手別途とか、聞いたことがあります。

追加工事は、その都度、見積もり、追加契約をする施工者が多いみたいです。

当然、追加が多い程、費用が多く掛かります。

段取りの変更などもあり、追加工事は効率が悪く、割高になることが多いです。

当社の考え方である、「設計に時間を費やす」「施主様が頭の中で何回も生活シュミレーションを実施する」は、追加工事を少なくするためです。

繰り返します。

追加工事を減らすことが予算オーバーを防ぐ基本です。

 

リフォーム工事の際の請負契約は、少し注意してください。

良くある話が、「床を解体してみたら、柱の足元がシロアリに食べられていた。でも契約に無いので、放っておいた。」みたいな話です。

契約時にそのような場合、どう対処するのか確認が必要です。

当然対処が必要です。

予算は契約額よりも多めに取っておくとよいと思います。

 

 

増減清算に重きを置いた請負契約の場合

<掛かった費用だけ>

施工者が大工さんの場合や、施工者が職人さんに直接労働依頼をする場合、掛かった人工数により、清算する方法があります。

掛かった費用だけを支払ってもらう方式です。

田舎で多いと思います。

少し前までは、施主様が施工者に一括請負させないで、基礎はA社、大工仕事はB社、屋根はC社とバラバラに発注するケースがありました。

農家などは、自分で監督する時間があったからでしょう。

今は、70歳ぐらいならば、皆さん普通に働いているので、一括発注が多いです。

この場合は、契約時に追加増減を最終的に実施する事を明記します。

当然追加工事があれば、増額となりますが、効率よく仕事が進むと減額になります。

見積もりはその都度する場合が多いですが、追加契約はしません。

見積もりと言っても「大体○○万円位かかりそう」っていう程度の事が多いです。

 

<工事費の内訳>

大まかな工事費の内訳です。

元請け会社としてです。

大工さんや左官さんを日当でお願いする場合、

①人件費

②材料費

③仮設材・機械器具損料

④外注費

⑤経費

⑥利益

このようになります。

これを大まかに人件費・材料費・外注費に分類すると平均で1/3づつの割合になります。

経費は、電話代やガソリン代、事務系職員やお偉いさんの給料などです。大きい会社の方が高くなる傾向があります。

例えば、年間の必要経費(現場経費も含め)が15億円の会社の売り上げが100億円の場合工事費の15%が経費となります。

⑤も⑥も会社を継続させるために必要なお金で、これが無いと仕事にはなりません。

この部分については、会社選びの際に考えてみてください。

工事終了後の予算オーバーには、さほど影響しないと思います。

 

<よくある増額項目>

主にリフォーム工事の内容ですが、建て替え(解体工事あり)の場合にも当てはまりそうです。

私の経験上の話ですが、追加や増額になりやすい項目は次の通りです。

 

1.建物内の家財の運搬、片付け

工事の前に仕事ができるように物品の搬出をします。

当然ながら工事範囲には通常入っていません。

撤去材は一般廃棄物なので、施主様が処分をする必要があります。

量次第では、一般廃棄物収集運搬業者に依頼します。

古物商を持っている人であれば、違う処分の方法もあります。

物量によっては、数十万円掛かったケースもありました。

 

2.外構工事の内容変更

そもそも外構工事のどの範囲までが見積もり内なのか確認してください。

コンクリート打設等も結構手間がかかり、追加費用がかなり発生する事が多いです。

 

3.前提条件の変更

解体したら、柱の足元が腐っていた。下水道の配管がでたらめで、やり直しが必要だった。少し掘ったら水が湧いてきた。など、思いもよらない事が起きる場合があります。

これは、誰の責任でもないのですが、このような事が起こる可能性があるとして、予算に余裕を持たせてください。

 

4.ちりも積もれば山となる

低価格の工事の場合、多いです。

低価格の場合、設計者や施工者は、価格を最優先事項として、設計施工をします。

当然安い仕様の商品を使用したり、床暖房などの設備を設置しないなどの方法を取ります。

ただ、施主様からすると、一生に一回だからと、仕様変更、追加設置を実施するように指示します。

結果、通常仕様となり、更に段取り重複により通常より割高となります。

たとえ、5万円の変更でも20ケあれば、100万円の追加となります。

 

なるべく、設計段階で検討を重ねる事が必要です。

リフォーム工事の場合、予算に余裕を持たせてください。

 

<減額の事>

減額は主に人件費の項目で起こります。

基本的には仕事がしやすい場合、発生します。

職人も気分良く仕事でき、良い仕事になることが多いです。

施主様が協力して頂けるときに多く発生します。

現場には毎日1回は行くことをお勧めします。

細かい仕様変更や良い提案がある可能性が高いです。

毎日いけない方は、たまにでも良いですが、任せっぱなしは、お勧めしません。

そして、職人を見たら、「ありがとう」や「すばらしい」など、声をかけてあげて下さい。

職人も人間なので、気分良く良い仕事をしてくれます。

 

 

まとめ

予算オーバーにならないためには、追加工事を出さない事です。

記載の失敗事例を参考に検討してみてください。

工事範囲を正確に把握し、施工者任せにしない事が重要です。

職人をほめるのは、裏技です。

新築・リフォームは、一生の内に何回もありません。

面倒がらずに家つくりをお楽しみください。

 

 

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