高気密高断熱住宅に思うこと(実体験 施主及び建築士)
もくじ
はじめに
高気密高断熱住宅の考え方
全館空調
24時間換気
弱点
結局こうなった
現在の私の設計で最も多い仕様
まとめ
はじめに
15年ほど前、まだ某サッシメーカーが元気だった頃、高気密高断熱住宅が流行しました。
私の家も、高気密高断熱住宅にしました。
しかし、その性能を活かしきれず、田舎建ての家と変わらない生活様式をしています。
なぜ、本来の計画の使い方と変わってしまったのでしょうか。
また、その考え方は、正しいと言えるのでしょうか。
考えていきます。
高気密高断熱住宅の考え方
高気密と、高断熱は文字通り意味が違います。
高気密は、家の密封度を上げて、空気の流通による、家の中の熱変化を防ぐ事。
高断熱は、高機能の断熱材を用いて、壁などからの熱の損失や流入を断つ事。
狙っている効果は、両方断熱性能を上げて、エアコンの効率を上げることです。
サッシ類も高気密高断熱サッシを使用し、さらにガラスも高性能のペアガラスにします。
空調は常に行い、家の中を一定の温度に保ちます。
効率が良いので、空調の電気代も安くつきます。
例えば、床材なども、保熱性があるものであれば、冬は床暖房なしでもポカポカです。
全館空調
各部屋にエアコンを設置し、効率よく空調をします。
外部との断熱性が高いため、内部の温度を一定に保ちやすいのです。
すなわち、全室にエアコンを配置し、窓を開けての換気空調を前提にしない方式です。
24時間換気
24時間換気は、高気密高断熱住宅の場合、基本的に各部屋に排気口があるシステム換気を用いることが多いです。
通常の換気扇を どうしてても取り付ける場合は、同時給排の換気扇を取り付けます。
寒気の流れを阻害しないためです。
弱点
もう、お気づきの方もいると思いますが、大家族で、常に家にいる人は良いでしょうが、夫婦ふたり暮らしであったり、一人暮らしであったりの場合は、かなり無駄が多いです。
私の家でも、結局年に1回も動かないエアコンがあるぐらいです。
そして、もう一つのかなり大きな問題があります。
それは、窓の問題です。
窓が換気のために開く以上、気密状態にするのは。すごく難しいです。
窓の数を少なくしたり、窓の種類を考えたり工夫が必要です。
現に私の家も、高気密サッシを使いましたが、結局スカスカでした。
他メーカーの普通のサッシの方が、機密性が高いぐらいでした。
そもそも自然を無視して、人間の力でなんとかなるなんて自惚れすぎです。
採用した私は、まだ若かったとしか言いようがないです。
結局こうなった
中途半端に機密性が高いので、結局湿度のコントロールができませんでした。
一番多い時には、家族7人で住んでいたので、排出される水蒸気量は半端ないです。
その結果どうなったか、家のパッキンカビだらけです。
レースのカーテンを引きっぱなしだったのもありますが。
空調機は、結局使用頻度が少ないのに、経年劣化により故障するものが出てきますか。
ちょうど10年で取り替え時期が来たみたいです。
24時間システム換気は、パナソニック製にしましたが、あたりがよかったのか、全く故障がありません。
常に動き続きです。
これは素晴らしいです。
ただ、普通の家としてならば、かなり良いので、夏は窓を開け、冬は灯油ファンヒーターをつけて、快適に暮らしています。
現在の私の設計で最も多い仕様
今、私が設計する住宅で一番多いのは、高断熱中気密住宅です。
断熱は、基本的にはウレタンをメインにし、輻射断熱を併用して、高断熱仕様としています。
サッシは、Y・・社製の通常のサッシを使用しています。
普通に気密性は良いです。
いつも通り、窓の開けた時の空気の流れを考え、窓を配置しています。
基本的に、トイレや洗面所に大きめの換気扇を設置し、24時間換気としています。
各部屋には、吸気口があるだけです。
もしもの時に、修理しやすいようにです。
エアコンは、各部屋に電源と配管用のスリーブを設け、必要最低限の数のエアコンのみを設置としています。
エアコンは、年々、省エネになるので、必要になった時に、新しいエアコンを買うのが良いと思います。
まとめ
今は、省エネの加減で、国が高気密高断熱住宅を進めていますが、色々と考えた方が良さそうです。
ある程度の性能の低下を考えて、工夫することが必要だと思います。
24時間冷暖房って無駄ですよね。
本当にしている人もいるでしょうけど、かなり少ないと思います。
参考になると嬉しいです。